「就職氷河期世代」と「Z世代」正論で語り合っても分かり合えないと悟り、例え話を考えてみました。

少し前に、新卒の初任給が氷河期世代の給料を抜いたというニュースが話題になりました。SNSでも「就職氷河期世代は努力が足りない」だの「時代が悪かったんだ!」だのと正論の殴り合いが起きていましたが正直、平行線だなぁと思います。

人は体験のしたことのないことはわからないってのが私の持論です。
わからないことをどんなに説明をしても、少しはわかるかもしれませんが、完全にはわかりません。

「雪」を知らない人に「雪」を説明するのは困難

例え話にすると少しわかりやすくなるかな…と思い、例えてみますが、生まれてから一度も「雪」を見たり触れたりしたことに無い人に
「雪って、白くて、冷たくて、積もるんだけど、顕微鏡で見ると“結晶の形”になっていて…」なんて説明したとします。

雪は「冷たくて」「積もる」という事を知らない人に、その雪が積み重なって「かまくら(居場所)」になったり、「ゆきだるまづくり(娯楽)」になったり、「スキー」や「スノーボード」ができちゃったりするなんて想像が追い付か居ないんじゃないでしょうか。

娯楽にもなる一方、それがみるみる屋根に降り積もり、生活を苦しめるものになるのも想像がつかないかもしれません。
私自身も雪国には住んだ事が無いので豪雪地帯の実際の大変さは知らないのですが。

今と昔の違いを「巨大な船」で例えてみる

今の若い世代からすれば「なんでそんなに必死だったの?」と不思議に見えるかもしれませんが、前提となる「船の状態」や「船員」が根本から違います。

就職氷河期世代が20~30代だった頃の社会を「船」に例えるなら、「船底に穴の開いた木造船」です。

「船員」は世代人口:「定員数」が全然違います。

「海」は景気・社会情勢: 私たちの力では変えられないもの。氷河期は「荒れ狂う嵐の海」で、今は「穏やかな凪の海」。

「船」はキャリア(世代の立ち位置): 氷河期世代が必死に補修しながら守ってきた「ボロ船」と、今の世代が最初から与えられている「最新のエンジン付きの船」。

船の装備

  • Z世代: 穴が空いていない頑丈なエンジン付きの船。求人という燃料も、採用枠という定員数も豊富で、ITや効率化が進んでいる。
  • 氷河期世代: 手漕ぎの最初から浸水しているボロ船。船底に溜まる水を掻き出しオールを漕ぎ続けないと、その場に留まることすらできなかった。

船選びと海の状態

  • Z世代: 波が比較的穏やか。どの船に乗り、どこへ向かうか「選ぶ余裕」がある。
  • 氷河期世代: 常に嵐の中。目の前の高波を越えることだけに全神経を使い、どの船に乗るかを選ぶことも、方角を確認する暇もなかった。

「エンジン付きの船」に乗っている人からすれば、手漕ぎで必死にバケツで船内に貯まる水を汲み出している人の姿は、非効率で滑稽に見えるかもしれません。
でも、それは「時代の装備品」が違っただけの話です。

「海」の状態は良くなっても「船」を乗り換えるのは難しい

今、海の状態は比較的穏やかになったかもしれません。
「乗船員」が足りないので「外国人乗船員」も増えています。

「あっちの好条件の求人豪華客船に乗り換えればいいのに」と思うかもしれませんが、でも私たち就職氷河期世代は新しい船に簡単に乗り換えることはできません。
残酷なのは、私たちの持っている乗船券には「35歳まで」と書かれており、この社会という海には「年齢を重ねるごとに乗り換えの審査が難しくなる」というルールがあるからです。

体験のしたことのない事をを埋めるのは想像力

かつて、私も若い頃に「なぜ私たちがお年寄りを支えなければいけないのか」と母に不満をもらしたことがありました。

その時、母が言った
「今のお年寄りたちは、戦争で大変な思いをしてきたんだから…」という言葉が今でも心に残っています。

私には戦争の恐ろしさも、食糧難の苦しみも、肌身で感じることはできません。それは、雪を見たことがない人に雪の冷たさを説明するのと同じくらい、決定的に「体験」が欠落しているからです。

就職氷河期とZ世代の間にある溝も、これに似ているのかもしれません。

穴の空いた船で浸水と戦いながら必死に漕いできた世代と、最新の装備を与えられた世代。それぞれの船から見える景色は、あまりに違いすぎます。

正論で相手を論破しようとしても、体験していないことは、結局のところ「わからない」んです。

でも、わからないからこそ、相手がどんな嵐を越えてきたのか、あるいはどんな未知の海に漕ぎ出そうとしているのか。その背景に少しだけ思いを馳せることはできるはずです。

「大変だったんだね」「今はそういう時代なんだね」と、互いの「体験」を想像してみること。そんなささやかな想像力が、正論で殴り合うよりもずっと遠くまで、私たちを運んでくれるような気がしています。

というわけで色々書きましたが、私はZ世代の子たち好きですよ。

会社や親類のZ世代の子たちは経済観念もしっかりしていて若くして結婚している子も多いです。私の周りのZ世代は堅実な生活をしていて本当に偉いな!っていつも感心しています。

正直なところ、私が一番「分かり合えない」と感じるのは、Z世代よりも、「バブル世代」です。常に強烈な「追い風」が吹く海をゆく豪華客船。
適当に帆を上げているだけで船はグングン進み、寄港する先々で内定やボーナスという名のお宝がジャラジャラ手に入る、そんな航路でしたよね。年齢的にもう定年。うまく逃げ切りましたよね。

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